黒豚の噂 woink-propaganda

人狼GMの活動で得た色々をぼやきます。対面と長期が主戦場。

黒豚の解説「初めての人狼PL宛のインストラクション」後編

http://wbo6on.hatenablog.com/entry/2020/02/24/083303←中編

(°(00)°)後編です。
 後編では詳細部分に当たる【役職】【手話】のインストラクションについて解説していきます。

 概要部分と異なり、派生の話が端々に挟まるので一節一節が長くなります。
 全体で15分程度ですが、概要3~5分に対して残りは詳細部分、くらいの時間感覚でいます。

 

【役職】
 ゲームの概要部分のインストラクションは終えたので、ここからは詳細です。
 実際に配役するカードを全PLに見せながら行います。見にくければ1周カードを回すとよいです。
 説明の順序は「狼→狂→守→占→霊→村→狂(再)」の順に行います。

 「進行と終了条件の説明は終わったので、ここで一旦質問を受け付けます」~
 「では根幹の説明は終わったので、ここから枝葉の話に入ります。実際に使う役職の紹介です」

 「まず人狼、先程登場しましたがもう一度。
 毎晩、顔合わせをしてから誰か1人を襲います。この際、狼達は狼達を選べません。なので狼に襲われた人、絶対に狼ではありません」

 「喰われた人が狼の可能性」を考えてしまう人がいるので予備知識として「襲われた人が狼ではない」ことを添えておきます。
 (後の、護衛の説明の際に「護衛成功したらその人は狼ではない」まで言ってもいいですが、余談なので私は端折ります)

 「次、狂人…は狼の味方です。一先ずこれだけ、またあとで立ち戻って説明します」
 ここで殆ど説明をしないのに狂人を登場させるのは、編成発表の順にそのまま則したもので登場順を並べるためです。
 しかし狂だけは最後に説明を入れた方が良いので2工程を設けています。

 

 「ここから村陣営です。守護者。
 毎晩、狼の襲撃から誰か1人を守ることができます。守られた人はその晩は狼に襲われても死にません」
 (経験者が2人以上いるなら、ここで護衛の実演をしてみると良いです)

 「守護者は誰を守っても構いません。ずっと同じ人を守っていても構いませんし、昨晩はその人、今晩はこの人、明晩はあの人、と違う人を守っても構いません。
 ただし1つ注意点がありまして、自分自身を守れません」
 「ですので、初心者が時偶やってしまうのですが、『僕は守護者を引いたのですがな何をしたらいいのですか?』と堂々と訊いてしまう場合があります。するとおそらく翌日襲われてしまうので注意しましょう」
 「今し方、『守護者は名乗らない方が良い』みたいなことを臭わせる表現をしましたが、実際には『名乗った方が良い場合と、名乗らない方が良い場合がある』ので、そこはご自身で判断して頂ければ幸いです。それを楽しむゲームでもありますので」

 1役にだいぶ長いですが、軽いアドバイスも含めてこれくらいにまとまるなら言っておいた方が良いと考えてこの文言は組み込んでいます。
 「名乗ると良くない」例だけ挙げるとあるべき自由度が失われますし、かといって何も助言をしなければ例のようなことが起きます。

 守護者の立ち回りは初心者にとって鬼門です。情報の扱いがそもそも解らない初心者にとって特に難しいのが情報を封鎖されやすい役職である守護者で、その事前知識がないならば事実上の初見殺しに当たります。
 ゲームが始まってから昼時間を割いて(信疑不明の)PL間で説明をするよりは、GMが進言する方が円滑にゲームに臨めると考えています。

 「予言者は村で最も強く、唯一能動的に狼を探すことができる役職です。
 予言という能力があり、毎晩1人を選び、その人の正体が"人狼"か、そうでなく"人間"かを(判定の手話やカードを見せながら)GMから教えます」
 (経験者がいるなら、ここで予言の実演をしてみると良いです)
 「最も強いので最も狼から襲われやすい役職です。これを引いたら最初の最初は生き残ることを目的にしましょう。
 処刑されないよう且つ守護者に守ってもらえるように名乗り出たり、あるいは誰にも曝れないようにじっと黙ったり。主に前者ですが」

 最後の一言に露骨に誘導が入ってますが、よくわからないまま死んだりよくわからないまま敗けたりするよりは多少の入れ知恵は必要経費、と割り切って定石の一部を伝えます。
 この一言を添えるために予言者よりも前に守護者の説明を入れている意味もあります。

 「霊能者は一見すると予言者と似た能力を持っています。誰かの正体が"人狼"か"人間"かをGMから教えます。
 聞くと同じに聞こえますが、予言者と違う点は生きている人でなく処刑された人の正体を知る点です」
 「毎夕毎夕、必ず誰かを処刑します。その処刑された人が人狼か人間かを知り…そして逆算することで生き残ってる狼が何頭か判る。
 これが霊能者の能力です」
 「霊能者も予言者には劣りますが、情報を運んでくる役職です。最初序盤は生存を目指しましょう」

 最後の一言はやはり入れ知恵です。
 それはさておき、霊能者は予言者を引き合いに出して説明します。これにより「予言者と霊能者は似ているが、別物として在る」ことを印象付けます。
 初めてのPLによくある事故で、予言者の時に霊能者が起きる、またその逆が起きます。これを防ぐ意味を込めて並列して「別物」であることを強調します。

 「最後に村人ですが、いっぱいいる有象無象です。
 ですが頭数はいっぱいいるので、票数上でのパワーは村人が一番持っています」
 「特に能力がないが、頭数はいて、それが重要である」ことを伝えればそれでOKです。

 「で、戻って狂人です」
 「先程、狂人は狼の味方だと言いましたが、狼ではありません。
 狼ではないので予言者や霊能者に正体を見られたとしても"人狼"ではなく"人間"と出ます。
 狼ではないので狼が誰だか直接は知らず、狼に知られてもいません。なんなら狼に喰われることすらあります。
 能力も無いので、つまり殆ど村人と同じです。
 しかし村人と違う点が1点だけあります。勝利条件です。『狼が勝ったら一緒に勝ち』となる村人、それが狂人です」
 「ですので、狼が喜ぶことをするか、村が嫌がることをします。
 主な仕事は嘘を吐くことです。狼を見つけたら庇ったり、予言者や霊能者を名乗ったりして正確な情報の邪魔をします」
 狂人の説明は一通りそれまでの役職を引き合いに出すので、最後に持ってきます。

 これで全ての役職の説明が終わりました。
 もしこれ以外の役職を使う時には配役前に(当たり前ですが)説明を入れます。その際に能力や勝利条件を可能な限り捉えやすいようにしつつ、もしアドバイスを添えるならばシステムの説明を終えてからアドバイスを添えるように心掛けます。

 システムインストかアドバイスかの区切りを、言葉選びや空気感で表現できない場合は、いっそ「これはちょっとしたアドバイスですが」と語頭に添えると良いと思います。

 

【手話】
 詳細の中でも難しい部分に入ります。
 何が難しいってそもそもこれ(手話)は言語です。初めて言語を与えられてすぐに使える方が希少です。

 しかし使えると便利なのは事実ですし、経験者が狼に交じった場合には何を言っているかの見当が付くくらいの予備知識があるだけで人狼の立ち回りは格段に良くなります。せっかくの団体戦で情報を利とする狼なのですから、初めてのPLに良い機会を作れるかもしれないように一通りを伝えるだけ伝えます。

 「さてここから枝葉の中でも葉の方の話に入ります。"手話"です」
 「狼は複数頭で顔合わせをして意思伝達のための時間が夜にあります。ですが先程申し上げましたが夜は音を立てられません。ですので狼は手話で会話をします。
 その手話を今から教えます」
 「最悪、憶えなくても構いません。言語を教えられていきなり喋るのは無理があります。もし使えたら恰好良い、くらいで結構です」
 「まず…最初に必ず憶えてもらうものが3つあります」
 「憶えなくてもいい」と言いつつ次に「必ず3つ憶えて」と切ります。天邪鬼な話順ですが「全て憶えなくていいから、これだけ憶えて」と暗に示します。

 「まず予言者や霊能者が"人狼"を見付けた時のハンドサイン、次に正体が"人間"だった時のハンドサイン」
 
「みなさん出してみてください」
 (ここでは実際の見せながらPL全員に手話形を作ってもらうのが良いです)

 「そして人狼、守護者、予言者は毎晩誰かを能力で指定します。その時に『自分の何席隣か』で指定をしてもらいます。死体は飛ばしてください」
 「指一本で対岸を指してもGMは一切反応をしないので、ご了承ください。時間を使い過ぎると能力が使えずに進んでしまうこともあるので、併せてご了承ください」
 (経験者がいるなら、ここで誤った予言の実演をしてみると良いです)

 「判定」と「指定」のハンドサインです。
(判定のハンドサインは環境によって様々ですので注意。他の手話との兼ね合いもあるので、手話の構成は環境次第で柔軟に変えてください)
 指定のハンドサインは、PLが疑問を浮かべる様子であれば「誰を指定したのかPLとGMの間で誤るとゲームが壊れるので」と添えます。
 これを厳守するために「これ以外の方式では一切受け付けない(反応を示さない)」旨と「時間を使い過ぎると行使よりも進行を優先する(※)旨を伝えます。
(※狼は生存が確定しているため時間を多く使っても構わないが、他の役職は時間の多寡で生死が曝れてしまうため)
 システムのハンドサインはこの3つだけで、あとは人狼の使うアナログのハンドサインです。

 「ここから狼の会話で使うハンドサインです。一通り全ての役職についています」
 編成表記順(狼狂守占霊村)そのままに教えます。
 ここは環境ごとにハンドサインが異なると思うので、実際の文言の解説を省きます。
 役職の手話を教える。
 騙り潜りの手話を教える。
 処刑の手話を教える。

 環境ごとに特殊な手話があれば併せて教える。

 役職の手話は実際に狼同士を想定して実演してみるのが望ましいです。経験者と経験者、GMと経験者、いなければGMと人形、で実際の手話を初めてのPLに見せます。
 騙り潜りと処刑の手話は、概ねどの環境でも共通だと思います。これも実演を交えて教えます。余談ですが、この処刑の手話の際ついでに「あいつ吊ろうぜ~、の時に使います」と言って吊り=処刑をそれとなく表現しています。余談です。
 あとは特殊なものがあればこの時に教えます。
 手話まで教えたらいよいよゲーム開始…の前にあと1工程、やることがあります。予想戦です。

  

(°(00)°)前編中編後編と長らく解説して参りました。
 ここまでインストラクションを終えたならば、初めてのPLでも人狼を遊ぶのに充分な情報は伝えられたことかと思います。
 予備知識を伝えたりする必要があるかないかは意見が分かれる部分かとは思いますが、「初めてのPLが人狼を楽しむため」には、を建てるGM各々が試行錯誤していくことが大事だとも思っています。

(`°(00)°)σ さて、そして追記編に続きます。
追記編→http://wbo6on.hatenablog.com/entry/2020/03/08/161746