黒豚の噂 woink-propaganda

人狼GMの活動で得た色々をぼやきます。対面と長期が主戦場。

推理論「狼像」

今回は推理について語ります。推理の中でも「狼像」を用いた推理について焦点を当てた お話です。
推理の在り方とか そういった価値観(宗教)の話は今回はせず、単に推理方法論だけ話します。

 

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・狼像とは?
・天秤にかける
・多軸的に
・利点と欠点

 

◆狼像とは?
先ず以って「狼像とは何?」と思う方もいると思います。大雑把に述べますと「ある人を狼として見做した場合の人物像」及び「その人物像に沿った言動 行動の思考筋」のことです。

 

解釈が難しくても無理矢理こじつければ誰でも狼的な側面は持っています。
誰しも「どう解釈しても狼として通らない」と思ったら狼だったことが推理経験上あるように、解釈できない推理点が1~2ヵ所あったところで狼と見做すことはできます。
勿論、素直に狼に見える場合は それで構いません。

 

「襲撃たぶん違うけど」「偽占と切れてるが」等 狼には見えないが…気持ちを一旦 捨て置いて、理屈の仮定で「狼である」を前提に捉えた人物像を描いてみてください。
それがその人の狼像です。
大事なのは「一先ず無理矢理でも狼と見做すこと」です。

 

余談
元々は「仮に狼とした時の人物像」を略して「仮狼像」と呼んでいました。
「仮に」は誤解を避けるために仮定として話している前置きのために添えていたものですが、いくらか浸透した結果その前置きは不要になったらしく気付いたら外れていました。

 

 

◆天秤にかける
前項で狼像とは何かを話しましたが、これを推理方法論にするには あと1段階あります。
「狼として解釈できるなら それが狼で良いのでは?」「狼像が見付かれば それで狼を見付けたと決めて良いのでは?」と思うかもしれません。
しかしそれだけでは「無理矢理でも解釈が通れば」ある人を狼と見做せてしまう…もっと言えば視界にいる全員を狼と見做せてしまうため選別ができなくなります。
大雑把に述べると、これの解決のため狼像と対になる「村像」を捉えます。

 

前項で述べた通り、狼像は「無理矢理でも」捉えた狼です。つまり妥当であるかの判断は捨て置いて解釈した人物像です。
まぁ一先ずは それでいいのです。狼像の役割は捉えることで、想像(発想と連想)を駆使して無理矢理こじつけても それはそういう機能のためなので それでいいのです。狼像はブレインストーミングの感覚で描きましょう。
が、その無理矢理な像を そのまま結論にするのが悪いことで、想像の次には判断をする必要があります。
そこで必要なのが村像です。

 

狼像は無理矢理でも捉える必要がありましたが、村像は狼像より簡単に描けます。
目の前の その人は(平常であれば)村として振る舞っているはずですので、その姿をそのまま その人の村人として解釈します。
これは単に気質考察や人物把握の一環でできます。

 

めっっっちゃくちゃ怪しい人物もいますが、その言動 行動は その人なりの村利を望んで起こしたのだと(理由を聞いているなら それも含めて)村像に包みます。理由を求めたければ訊いた方が良いでしょう。
もし村人として許せない行動があったなら一旦 許します。……おや…場合によっては狼像を捉えるより難しいかもしれない。しかし ここでも気持ちは一旦 捨て置いてください。
狼像と同様「一先ず無理矢理でも村と見做すこと」が大事です。

 

狼像と村像が描けたら天秤の両皿が揃いました。
これがどちらに傾いたかで その人が貴方にとっての狼か村か判断します。
狼として妥当ならば狼皿が重く、そうでなければ軽くなります。村皿も同様です。
その結果、狼皿が重ければ狼、村皿が重ければ村 ですが、あくまで「貴方にとっての」であることを お忘れなく。

 

 

◆多軸的に
皿を増やすこともできます。
ここまでの推理方法だと「村か狼か」しか登場していませんが、人狼では他にも役職が基本でも4つ…狂守占霊がいます。
「一旦 無理矢理でも狂と見做して」「守と見做して」と皿の数は便宜上その役職数までは増え得ます

 

そうすると、乗るものが「狼像と村像」だけでなく「狂像と占像」や「狼像と狂像と霊像」等、対になる皿や組み合わせが何通りかあります
天秤にかける際には どれも皿作り(想像)→天秤(判断)に機能を段階分けして行います。

 

天秤の皿の上に「Aの狼像 と Bの狼像」を乗せて判断にかける推理所作があります。「AとBでより狼なのは~」「この襲撃はAよりBっぽい」等
他人の狼像との比較…も また一つの天秤の使い方ではありますが、これは相対的にであって その実この時の天秤には「A狼像とB狼像と一般的な狼像」の見えない3皿目があり、又 乗っているものの価値基準が揃っていないことがあります。ご注意ください。

そして この用法の場合の判断は「より重い(狼像が見える)方」ではなく「見えない3皿目の重さに近い方」が基準です。
単体推理とはまた違った天秤の使い方になります。併せて ご注意ください。使い方次第では有効です。

 

 

◆利点と欠点
推理は想像と判断の複合作業です。
像を通したこの推理法は その複合作業を
①皿の試料を作る(想像)
②天秤にかける(判断)
段階作業に分ける方法論です

それを踏まえた上で 利点と欠点を述べます。

 

・利点
感覚的な取り零しが激減します。
本来は気付きや直感 直観 等の(この表現は好きではありませんが)いわゆる「センサー」の力に依存した感知の大部分を作業工程で得られます。
但し、直感 直観を想像 知識に代替しているだけなので、想像力か知識力がないと機能しません。
(識らないことは辿れない)

又、皿に乗せる際には言語化を通さないと この推理法は機能しないので、その関係から他人に見せやすいです。
ざっくり言うと、言葉を通して用いるので議論に転用しやすいです。
故に言語重視のPLに向いています。

 

・欠点
逆に感覚重視のPLには向きません。
言葉を積み上げての作業が大部分なので、感知を本懐とした手法を好むPLは像推理法を扱わない方が本領を発揮できるでしょう。これは道具と使い手の相性のお話。

 

一番の欠点は、時間がかかることです。
この推理方法論の全工程を緩みなく詰めるなると、必要とも思えず省きたくなることが多く含まれます。
可能性を虱潰しにしている、のが この方法論なので時間がかかるのは至極 当然です。
起動も遅いです。皿作りが必要なので その人の言動 行動の履歴がないと試料集めができません。
故に この方法論は長期人狼向きで、対面や短期には向きません。
長期で像推理法を肌に馴染むまで使い、高速化した上で「明らかに要らない」部分を省いて はじめて対面 短期に転用できる手法です。

 

そして、欺ける弱点として村像と狼像の解釈できる比重が同じ場合、その人単体では白黒判断ができなくなります。
(まぁこれは他を詰める消去法が使えるので、対策できます)

 

又 更に、皿に乗せる試料を間違えると天秤が正しく機能しないのも弱点です。
始めから疑い眼で視てしまっていたり、先入観による取り零し排除できることが利点であるのに、感情が邪魔して それができないと機能不全となります。
しかし感情の完全排除は人類にはできませんので、とにかく感情の揺れに弱いです。

更に、知識外の狼を捕まえることはできません。
まぁこれはどの推理法でも そうなんですが、この像推理法は特に顕著です。

 

まとめると…
・可能性の取り零しが少ない
・要素の共有をしやすい
・その分 時間がかかる
・使用者の感情揺れに弱い
・使用者の知識量に信頼性が依存する

なので像推理法は終盤に莫迦強く、特に長期村の最終盤の単体一本刺しが必要な場面で高性能で重宝します。
逆に序盤は機能不充分で使い物になりません。
とても重たい道具です。

対面では高速化と省略化が求められますが、それができているのであれば長期よりも個性情報を積み重ねやすいので早期の起動も望めます。

 

 

◆おわり
あくまでこれは方法論であり、単なる道具の紹介です。使う際には用法用量に ご注意。
「心に弁護士と検察官を」

では好い人狼生活を(`°w°´)ノシ